宮里大八国際交流基金・バリ島海外派遣。
5日目から、ドリーマー2人にとって今回の海外派遣の大きな挑戦の一つ、ホームステイが始まりました。
これまで一緒に活動してきた2人も、ここからはそれぞれ別々の家庭へ。
日本語はもちろん、英語も十分には通じない環境の中で、インドネシア語やバリ語に囲まれながら、バリ島の家庭の一員として生活します。
最初は私も少し心配していました。
しかし、ホームステイ先から次々と送られてくる写真を見て、その心配は少しずつ安心へと変わっていきました。
写真に写っていたのは、笑顔でバリ島での暮らしを楽しんでいる2人の姿でした。
観光ではなく、バリ島で「暮らす」
今回のホームステイで大切にしているのは、単に海外の家庭に「泊まる」ことではありません。
その家族と一緒に生活することです。
食事を一緒にする。
子どもたちと遊ぶ。
家族と話そうとしてみる。
家の中で行われていることを見たり、時には一緒にやってみたりする。
そこには、ホテルに宿泊して観光地を巡るだけでは見ることのできない、バリ島の人たちの「日常」があります。
送られてきた写真には、家庭の中で何かを一緒に準備している姿もありました。
色鮮やかな花などを前に、ホストファミリーの方の様子を真剣に見ています。
バリ島では、宗教や祈りが特別なイベントとして存在するのではなく、人々の日々の暮らしの中にあります。
こうした文化を説明として「学ぶ」のではなく、実際の家庭生活の中で目にし、感じられることも、ホームステイだからこその経験です。
子どもたちがつないでくれる距離
そして、写真を見ていて特に印象に残ったのが、現地の子どもたちとの交流です。
一緒にカードゲームをしたり、おもちゃで遊んだり。
隣に座って過ごしたり。
そして最後には、体を寄せ合って満面の笑顔で写真に写っています。
おそらく、最初に会ったときには、お互いに何を話せばいいのか分からなかったはずです。
日本語は通じない。
英語も必ずしも通じない。
でも、子どもたちと遊ぶのに、完璧な言葉は必要ありません。
笑う。
指をさす。
身振り手振りで伝える。
一緒にゲームをする。
そんな小さなコミュニケーションを積み重ねるうちに、自然と距離が縮まっていったのだと思います。
写真の笑顔を見ていると、言葉よりも雄弁に、そのことを伝えてくれているように感じます。
「伝わらない」から始まる学び
沖縄にいると、自分の気持ちや考えを言葉で伝えられることが当たり前です。
しかし、今回のホームステイでは、その「当たり前」が通用しません。
何を食べたいのか。
どこへ行きたいのか。
何をしているのか。
相手が何を伝えようとしているのか。
簡単なことさえ、言葉だけでは伝えられないことがあります。
だからこそ、
「どうすれば伝わるだろう?」
と考えるようになります。
表情を見る。
相手の行動を見る。
身振り手振りを使う。
知っている単語を使ってみる。
そして、とにかく笑顔で接してみる。
こうした経験は、単に「外国語を勉強する」こととは違う、コミュニケーションの原点を学ぶ機会になっていると思います。
6日目、少しずつ「家族」の中へ
5日目にホームステイが始まり、6日目。
送られてくる写真からは、すでに少しずつ家庭の中へ溶け込んでいる様子が伝わってきました。
現地の家族や子どもたちに囲まれている写真。
子どもたちと遊んでいる写真。
海辺で両手を大きく広げ、満面の笑顔を見せている写真。
どれも、こちらが思っていた以上に自然な表情です。
「海外派遣に参加している中学生、高校生」というより、その瞬間は一人の家族、一人のお姉ちゃんのようにも見えます。
ホームステイの価値は、豪華な場所へ行くことでも、有名な観光地を見ることでもありません。
自分とは違う文化の中に、自分自身を置いてみること。
そして、その中で人とつながってみることです。
「違う」を楽しめる人になってほしい
文化が違う。
言葉が違う。
食事が違う。
生活習慣が違う。
宗教も違う。
海外へ出ると、日本・沖縄との「違い」にたくさん出会います。
そのとき、
「沖縄と違うから嫌だ」
と思うのか。
それとも、
「どうして違うんだろう?」
「面白いな」
「もっと知りたい」
と思えるのか。
私は、海外へ若者たちを送り出す意味の一つは、ここにあると思っています。
世界には、自分たちとは違う価値観や暮らし方を持つ人たちがたくさんいます。
しかし、違うからといって、分かり合えないわけではありません。
今回の写真に写っている笑顔は、そのことを教えてくれているような気がします。
写真から伝わってくるもの
私や現地のコーディネートをしているバリ俱楽部の方々は、ホームステイ中、ずっと2人のそばにいるわけではありません。
むしろ、それが今回のホームステイでは大切なことだと思っています。
大人がいつもそばにいて、困ったときに日本語や英語で助けてしまえば、自分で考え、自分なりの方法で相手に伝え、乗り越えていく機会が少なくなってしまいます。
もちろん、安全面についてはバリ俱楽部の皆さんとも連携しながら見守っています。
そのうえで、できるだけそれぞれの家庭の中で、自分自身でコミュニケーションを取り、バリ島の日常を経験してもらっています。
そして、離れた場所からホームステイ先から届く写真を見ています。
写真を見るたびに、
「楽しんでいるな」
「少しずつ馴染んできているな」
と感じます。
もちろん、写真だけでは分からない苦労もあるでしょう。
言葉が伝わらず困ったことも、文化や生活習慣の違いに戸惑ったこともあると思います。
それも含めて、帰国したときに本人たちの言葉で聞いてみたいと思っています。
最終日まで続くホームステイ
このホームステイは、1泊だけの体験ではありません。
最終日まで、それぞれの家庭でバリ島の暮らしを経験します。
5日目、6日目と過ごし、これからさらに家族との距離は近くなっていくでしょう。
そして、別れの日には、今とはまた違った感情が生まれているかもしれません。
沖縄を出発したときの2人と、ホームステイを終えて沖縄へ戻る2人。
何が変わるのか。
何を感じるのか。
そして、この経験をこれからの人生にどうつなげていくのか。
私も楽しみにしています。
言葉が違っても、文化が違っても、人と人はつながることができる。
ホームステイ先から届いたたくさんの笑顔を見ながら、改めてそう感じた5日目、6日目でした。